今から30年ほど前に、池袋リブロの人文書売場には「今泉棚」とあだ名される棚がありました。
先日、その伝説の棚を作った今泉正光さんのお話を聞いてきました。今泉さんは大変な読書家で、難解な本も読み解く読解力を持ち、著者や教授にも物怖じせずに会いに行っては議論をするような方だったそうです。その気になれば教授にもなれる方だと思うのに、今泉さんは書店員になります。150坪のキディランド大宮店では寒空の中駅前で婦人誌を売ったり、前橋西友時代には地元の読書会に顔を出すことで売上を伸ばしたりと、実践的な行動力のある方でした。当時「西武ブックセンター」という名称だった池袋リブロに移り、その博識と人脈を活かしどんな読書家をもうならせるような人文書の棚を作り、売上も飛躍的に伸ばしたそうです。
その後リブロを去り、前橋かんこ堂を経て現在は長野平安堂の古書売場にいるそうです。
お話を聞いていて一番感じたのは、今泉さんのような書店員に年棒1000万円以上払えるような仕組みを作れなかった点に、書店業界の大きな問題があったのではないか、という事です。
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