2010年2月7日日曜日

おとなこども

先日、昔話研究の第一人者、小澤俊夫さんのお話を聞く機会がありました。ドイツ文学が専攻でグリム童話を研究されてきた先生は、その後日本の昔話の分析研究を精力的に進めて来られれました。全国で昔ばなし大学を開講され、今では600人以上の後継者を育てて来たそうです。メルヒェンの本場ドイツでは200年も前に昔話を口承できる方はいなくなってしまったのだそうで、かろうじてまだ日本には語りの出来る方がいらっしゃることは、世界的に見ても貴重なことだそうです。また、昔話には残酷な場面がたくさんありますが、それはそのまま伝えることが重要なのだそうで、そこをきちんと通り抜けた子どもの方が落ち着いた成長がのぞめる、とのことです。そして強く印象に残ったのは「お話を聞いたり本を読んだ後の子どもに感想を聞いてはいけない」というお話でした。感想を聞かれることが日常になった子どもは「いつも大人が喜ぶような答を考えてしまうような“おとなこども”になってしまう」のだそうです。どうやら戦後の児童書出版界は、こぞって「おとなこども」を育ててきてしまったようです。

2010年1月1日金曜日

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

先日、ある経営コンサルタントのセミナーに参加した時に、こんな話を聞きました。
「営業にとって大事なのは共感力だ。相手の話を聞いた時、どれだけ自分は相手の話に共感したか、を上手に伝えられるかどうかで結果は大きく変わってくる。しかし、今の若い営業マンには、その共感を相手にうまく伝える技術が欠けている」。そして参加者から「共感力を鍛えるために有効な方法は?」と聞かれた先生はすかさず「本を読むことです」とおっしゃたのです。本を読むことでボキャブラリーが増え、自分が感じたことを適切に相手に伝えることが出来るようになる、のだそうです。
やった!やっぱり本なのだ。
この先生は、これからの企業にとってネットの有効利用がますます重要になる、というポリシーでお話される方なのですが、その先生も迷わず読書の重要性を説いてくださいました。
読書推進を学校の成績にからめて語るのには大反対ですが、読書の習慣が有るか無いかは後で差が出る、とは言えそうです。

2009年12月13日日曜日

講演?!

僕が所属している読書の会では毎月、講師をお呼びしてお話しを聞いているのですが、12月11日(金)はなんと僕が話をしました。子どもの本に特化した書店営業代行をしている僕のルーツのついてと、今なぜ絵本の読み聞かせをしているのか、そしてこれから何をしたいのかについて話をしました。予想外にお集まり頂いた参加者の中には、子どもの本業界の重鎮もいらっしゃり、その中で話しをするのはとても難しかったです。でも、自分の今までを整理し、今後自分は何がしたいのか、について考える良い機会をくださり、個人的にはとても有難かったです。

2009年12月9日水曜日

第四回『書店員が選ぶ絵本大賞』

今年もやります『書店員が選ぶ絵本大賞』!!第1回は『ルリユールおじさん』が次点に、第2回は『としょかんライオン』が大賞に、第3回は『バルバルさん』(福音館書店/刊 乾栄里子/文 西村敏雄/絵)が大賞に選ばれました。第4回はどの絵本になるでしょうか?絵本の奥付が、2009年1月から12月までの中から「私はこの絵本が売れると嬉しい」と思うものベスト3を教えてください。3冊でなくても2冊や1冊でも結構です。1位は3ポイント、2位は2ポイント、3位は1ポイントとして計算いたします。締切は2010年1月末日です。去年は気を抜いてしまって投票総数が下がってしまったので、今年は気合を入れて投票を呼びかけたいと思います。書店員ならどなたでも投票できますので、お気軽にご投票ください。  ご協力よろしくお願いいたします。

2009年11月3日火曜日

紙の本はなくなるのか?

アマゾンの電子ブックツール「キンドル」が日本で発売され、「近い将来、紙の本はなくなるのか?」といった話題が再燃し、中には訳知り顔で「もう出版業界に未来はないよ」という人もいます。それにしても、首をすくめて事の成り行きを傍観しているだけの出版社が多すぎはしないでしょうか。考えてみれば、紙の本を作っているのは出版社なのですから、紙の本が「なくなる、なくならない」は、ある意味、出版社が「作るか作らないか」だけです。もっと出版社は、キンドルやケータイやPCでは代用の効かない、紙の本ならではの商品を研究すべきだと思います。発売から1ヶ月の間に3千部の実売が見込めるのなら、紙の本を作り続けても成り立つでしょう。ですから、紙の本がなくなってほしくない読者のすべきことは、ただひたすら紙の本を買うことです。国の規則によって紙の本が作れなくなったり、黒船によって市場が焼け野原にされるわけではないのです。出版社も書店も読者も傍観者にならずに「紙の本がなくなるかどうかのイニシアティブは我々が握っている」という意識を、もっと強く持つべきなのではないでしょうか?