「悔しい!」それがこの100ページ足らずのブックレットのような講演録を読んだ時の最初の感想だ。
北海道赤平市にある植松さんの会社は、9年前までお父さんと二人だけの町工場だった。ある時北海道大学の先生から「こんなもの作れないか」と打診があったときから、植松さんのロケット心に火がついた。爆発しないジェット燃料の開発、小型の人工衛星の開発から、自分の生命保険を担保に、世界で三基しかない無重力実験施設を作ってしまい、今は日常的にNASAから実験を委託されるような状況にある。
この9年の間に雇ったスタッフがまたユニークで大卒は数名、あとはラーメン屋や焼肉店でバイトしていたような、高校も満足に卒業したかどうかの若者だったりする。
北海道のど真ん中の芦別で生まれた植松さんは、中学の時の進路相談で「飛行機とかロケットの仕事がしたい」と言うと先生から「馬鹿じゃないの?お前の頭でできるわけないし芦別で生まれた段階で無理」
と言われたそうだ。その後宇宙開発の仕事をすると決めたときの税理士さんや銀行の冷笑・・・!!
そんな彼の原体験は『よく飛ぶ紙飛行機』二宮康明/著 誠文堂新光社/刊 だった。
そんな彼の心の友は、ライト兄弟やエジソンだった。そう!伝記から元気をもらっていたのだ。
僕が今まで漠然と思っていたことを、彼は明確に言い切っているのが悔しい。それが正しいから悔しい。しかもあっさりと実行してしまっているのがなおさら悔しい。そして僕より若いのが悔しい。
この本は、学校の先生必読書!子どもを持つ親の必読書!迷える若者の必読書だと思う。
『宇宙ロケットに夢をのせて~小さな会社の大きな挑戦~』 植松努/著 NPO法人読書普及協会/刊